国土交通省では、業務内容の多様化など設計等の現場の実態を反映させるため、「建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準(業務報酬基準)」を改訂し、平成31年1月21日に、公布・施行しました。
まずは、新業務報酬基準における見直し事項について、見てみましょう!
項目 | 課題 | 見直し事項 |
業務内容 |
・標準業務と標準外業務の区分が曖昧。 ・標準外業務が増大、適切な業務報酬が得られていない。 |
・標準外業務を整理。ガイドラインにおいて、詳細なリストを提示。 |
業務量の比率 |
・基本設計と実施設計を一体的に行うことを前提とした現行の略残方法では、基本設計と実施設計を別の主体が行う場合の各主体の業務量を算定できない。 |
・別主体への発注等に対応するため、基本設計、実施設計等の業務量の比率を設定。また、業務方法・形態の違いに伴う業務量の増減は標準外業務と整理(技術的助言) |
略算表の業務量・対象規模 |
・略算表の業務量が実態から乖離 ・現行の略残表の対象面積が限定的であり、昨今増加している大規模な建築物等に活用できない。 |
・実態調査を踏まえ、略算表の業務量を全面更新 ・実態調査の分析結果により得られた最大限の床面積の範囲を略算表へ反映 |
難易度による業務量の違い |
・「総合」「構造」「設備」のそれぞれの分野に関し、難易度に応じて業務量を割り増しできる仕組みの充実が必要である。 |
・「総合」「構造」「設備」ごとに、難易度に関する主要な観点と、その「難易度係数」を設定。 |
建築物の用途の複合化 |
・複合用途の建築物に関して、単一用途を前提とした現行の略残方法では、業務量を算定できない。 ・用途の複合化に伴う業務量の増加に対応する仕組みが必要である。 |
・複合建築物については、略算法に準じた方法により標準業務人・時間数を算定することができる旨を告示に規定。具体的な算定イメージをガイドラインにおいて提示。 |
業務報酬基準は、個別の経費を積み上げて報酬を算出する実費加算方法を原則としつつ、実費算定が困難な場合の算定方法として、略算方法が設定されています。
【実費加算方法】
(設計・工事管理等の業務に関する報酬は、業務経費、技術料等経費及び消費税に相当する額を合算する方法により算定することを標準とする)
各経費等について相当する額を個別に積み上げて算出する方法
業務報酬=直接人件費+直接経費+間接経費+特別経費+技術料等経費+消費税相当額
【略算方法】
(各経費の算出が困難な場合、直接人件費又は直接経費・間接経費の合計額の算定については略算方法によることができる)
業務報酬=直接人件費×2.1+特別経費+技術料等経費+消費税相当額
直接人件費=(標準業務量+追加的な業務量)×人件費
チェックポイントとしては、
➊業務報酬基準の対象業務である。
➋新築に係る業務であって、必要経費の積算が困難である。(積算が可能→実費加算方法、不可能→略算方法)
〈以下から略算方法〉
➌計画する建築物の用途の確認
➍業務量の確認
➎業務量の補正の確認
略算方法の確認事項は国土交通省のガイドラインでさらに細かく分類されています。
再度ご確認ください。